踏切遮断器botを運営しているZweiglinieです。題名に書かれている問題の答えはbotのツイートを見れば一目瞭然ですが、この記事はその答えを出来る限り一般的に解説したものです。不幸にもbotのいいねからの通知でこの記事に辿り着いてしまった方はどうぞゆっくりしていってください。
遮断機と遮断器の違い
題名に対する答えです。遮断機は踏切や駐車場などで使われる交通の遮断を目的とした機械で、遮断器は電気回路で使われる電流の遮断を目的とした装置です。遮断器は分かりやすく言えばブレーカーです。
なぜ遮断機と遮断器の違いに拘るのか
電気鉄道に限った話ですが、電気鉄道ではどちらも用いられる重要な電気機器です。遮断機は前述の通りですが、遮断器は電鉄用変電所や電車(直流用高速度遮断器)、駅の電気室(変電施設)などに用いられます。踏切の話をする時に、唐突に「遮断器」と言われると私は「踏切のどの電流を切るのか…?保護回路のことか…?」と一瞬迷います。専門用語を正しく使うことは円滑な理解を促進し、勘違い・デマの発生を防止できます。
機と器の違い
そもそもで機と器の違いが理解しづらいです。例外はありますが、電動機を使って回転する物は「機」、回転せず静止している物は「器」が基本的です。
分かりやすい例外
身近な物の例外は「信号機」です。LEDがチカチカ光っている電気機器なら「器」なのでは?と個人的に思っていたのですが、信号器はスターターピストル(運動会や陸上競技で使う合図器。よーいドンのドンのこと。)の別称です。ニホンゴムズカシイネ
英語での表現
日本語では誤用しやすい遮断機と遮断器ですが、英語にしてみると別物であることが実感しやすくなります。
- 遮断機:boom barrier
- 遮断器:circuit breaker
circuit breakerを直訳すると「回路破壊者」という表現です。かっこいい(小並感)
boom barrierは上手いこと直訳できませんでした
なお翻訳には鉄道総合技術研究所が編纂している鉄道技術用語辞典が便利です。
鉄道技術用語辞典 第3版
蛇足「遮断器の略称」
日本においても2単語の頭文字を取ってCBというのが遮断器の略称です。遮断器にも色々と種類がありますから、例えば家庭で用いるブレーカーはMCB、ビル・マンションの電気室(変電施設)などで使われる真空遮断器はVCBといった示し方をします。
蛇足「経済用語」
株価が乱高下した際に経済の混乱を抑えるために株式取引を止めることを経済用語で「サーキットブレーカー」と言うようです。なお英訳はCircuit Breakerです。そのまんまカタカナに起こしただけです。とてもダサイ
そういや感染症対策でもこの経済用語から引用して話題になっていましたね。
ドイツ語での表現
せっかくですからドイツ語の表現も調べてみました。
- 遮断機:Schranke
- 遮断器:Schalter(なんか手持ちの辞書だと「開閉器」って出てきたんですけどこれで本当に合ってるんですかね…?)
オーストリアでは遮断機をSchrankenと言うそうです。
蛇足「名詞の性」
Schrankeは女性名詞、Schalterは男性名詞、Schrankenは男性名詞です。ドイツ語だけでなく、多くのインド・ヨーロッパ語族は名詞に性があり、冠詞や形容詞の活用が異なります(英語は例外的に性がありません)。ざっくり言えば、名詞の性の認識が誤っていると間違った言葉遣いをしてしまいます。特に専門用語をGoogle翻訳など機械翻訳で翻訳する時は、まず日本語の使い方が合っているところから確認する方がいいかもしれまんせんね。
その他の言語での表現
あとは知らん。勝手に調べてくれ。
踏切遮断器bot活動報告
折角なので踏切遮断器bot(@crossing_CB_bot)の活動報告もついでにやっておきます。踏切遮断器botは2020年3月15日に活動を開始し、2021年6月12日現在では1,940いいねを記録しています。活動開始から1年と3か月ほど経っていますが、一日あたりの平均件数は4.3ツイートでした。日常的に1日3ツイートくらい、踏切が話題になると10ツイート以上というのが大体の実感でしたので、平均値と実感は乖離したものではないですね。
大半は日常的な誤字ですが、たまに踏切についてのツイートが拡散したり、ニュース記事の題名に誤字が混じっているものが話題になったりすると大量に誤字ツイートが出回ります。
話題になった時の拡散
最近では3月27日に発生した筑肥線の踏切事故において、偶然にも事故の様子を捉えていたドライブレコーダーの映像がTwitter上で拡散し、多くの人が踏切を話題にしたことで、誤字ツイートが相次ぎました。数えてはないですが、恐らく今年に入ってからは一番の勢いでした。
ニュース記事による拡散
以下は題名に誤字が含まれていたために誤字ツイートが出回った発端のニュース記事の一例です。
kuruma-news.jp
https://www.nbc-nagasaki.co.jp/nbcnews/detail/3625/www.nbc-nagasaki.co.jp
web.archive.org
NHKの記事はWayback Machineです。開くのに時間がかかるのでご了承ください。
長崎放送の記事は削除されてしまったようでトップページにリダイレクトされます。Wayback Machineとウェブ魚拓でも探しましたが見つかりませんでした…
新聞社や通信社では誤字を見かけたことはありませんが、テレビ会社やネットニュースでは上のようにたまに見かけます。校閲が充実しているか否かの差でしょうかね?