京浜急行電鉄神奈川新町第一踏切道の踏切事故について1

まずはこの事故により亡くなられた方へのご冥福をお祈りすると共に、怪我を負われた方々へお見舞い申し上げます。また、事故復旧に携わりました方々に感謝申し上げます。

 

さて、ここでは踏切事故の様々な観点について思ったことを書いていきます。まとまりのない文ならTwitterの方が良いのかもしれませんが、こちらで記録していきます。ナンバリングしてますが、多分続きは書かないと思います。書く気力があれば書くかもしれません。前の記事同様に手元の文献が少ないので、正確性に欠けます。ご了承ください。

 

この事故は仕方がなかったのかという話

120km/h運転について

京急の代名詞の一つとも言える120km/h運転、運転開始の1995年当時では画期的なものでした。現在では各社各路線とも車両・設備改良が進み、珍しいものではなくなりましたが、120km/hでの速達サービスは現在でも健在です。

この踏切事故の反応の中に「120km/hで運転していたのだから接触するのも仕方なかったのではないか」という言説を見かけますが、私は否定します。当然ながら事故は起こらないように対策をするものです。「120km/hなら仕方ない」のならば、速い速度が事故の原因と言っているものです。どの程度の速度なら事故は起こらないのでしょうか。極端なことを言えば、京急は踏切を通過できなくなってしまいます。

現在では廃止されていますが、2002年までは「600m条項」というものがあります。

ja.wikipedia.orgざっくり言うと「非常ブレーキをかけて600m以内に止まれるようにしなさい」というものです。当然ながら京急の車両も例外なく120km/h運転時でも600m以内に止まれるようになっています。120km/h運転のために非常ブレーキの性能向上の改造を施した車両(増圧ブレーキ)もあります。このように120km/hに速度向上する際には踏切事故が起こらないよう施策が取られています。この時、「120km/hなら仕方ない」だとこの施策は無意味なものになりますので、国交省としては120km/hで認可を出すわけにはいかなくなります。

ですから、「120km/hなら仕方ない」なんてことは一切ありません。

見通しについて

下り線の子安から神奈川新町にかけては緩い曲線を描き、該当踏切から600m離れた所から該当踏切までは直接見えません。このことから「見通しが悪かったので仕方ない」という言説を耳にしますが、私は否定します。前述の通り、当然ながら事故は起こらないように対策をするものです。先ほどは車両設備について述べましたが、今度は地上設備についてです。踏切には事故対策として障害物検知装置(障検)と特殊発光信号機(特発)、非常停止ボタンが主に設置されます。京急では業務用を除いてすべての踏切に設置されています。この記事では特発について述べ、障検と非常停止ボタンについては省略します。

京急では特発をほとんどの踏切で3機以上設置しています。踏切至近に「近」、少し離れた所に「中」、離れた所に「遠」を設置します。「遠」の見通しが悪い区間では設置数を増やし、「遠1」「遠2」と番号を振るようになります。また、他社ですと短い区間に複数踏切が設置されている所では特発を1機にまとめることがありますが、京急は踏切の間隔が短くとも踏切ごとに最低でも3機設置します。結構贅沢な使い方をするんですよね。

さて、該当踏切では遠中近の3機の特発が置いてあります。遠を目視する際は該当踏切を見ることはできませんが、発光していたのを確認すれば事故を防ぐか、事故が発生しても今回のような悲惨な被害を出すようなことはなかったと推測します。つまり遠の特発があるので、「見通しが悪かったので仕方ない」は通用しなくなります。また、遠の特発そのものの見通しが悪い場合も遠2の特発を置けば解決しますので、総合すると「見通しが悪かったので仕方ない」なんてことは一切ありません。

 

 

本当はもっといろんなことを書きたかったのですが、夜も更けてきたのでここまでです。台風による被害が少ないことを祈るばかりです。